このページでは、山道を安定して歩くことができるまで、オムツが外れるまでの乳児や幼児を連れて登山に行く場合の注意点をまとめています。
オムツが外れ、ベビーキャリアから下りて歩く時間が長くなってからの注意点はまた改めて(その時期が来たら)アップします!
2020年秋に出産後数ヶ月は登山どころではありませんでしたが、生後5ヶ月の赤ちゃんの頃からベビーキャリアに乗せることができるようになり、登山も少しずつ再開しました。ベビーキャリアを背負う夫は登山上級者でして、技術的・体力的な問題を気にせずに登山に出かける過程で、ベビーキャリアでの登山では危険だと感じる場所もそれなりに経験してきました。そのような体験から、「こういった登山道はお勧め(お勧めできない)」「こういう条件ならOK(NG)」と感じたことをご紹介します。現在も子供は成長中。成長と共に体験も増えていくと思いますので随時アップデートしたいと思います。
ベビーキャリアを背負う大人の体力に見合った登山道
子供の体重+自身の荷物の重さを背負って登って降りてこられるルートを選ぶ必要があります。赤ちゃんの成長段階にもよりますが、背負う重さはやボリュームは数泊のテント泊縦走登山並みになります。さらに同じ背負うといっても荷物と赤ちゃんとでは全く違う感覚になります。最初の頃は親はもちろん赤ちゃんもベビーキャリアに慣れていません。標高差の小さな短時間ルートから始め、慣れていくにつれて徐々に標高差や時間を増やしていくのが良い思います。
ベビーキャリアを背負う大人の技術に見合った登山道
安全でしっかり整備された登山道を選ぶに越したことはありません。「転ばない」「滑落しない」「赤ちゃんの顔や体に木の枝や岩をぶつけない」が大原則です。大人だけの登山より数段階技術レベルを落とした登山を心掛けます。
滑落の危険のある岩場や転倒しやすく落石の危険性もあるガレ場の急坂はベビーキャリア登山では技術や脚力、体力が必要になります。転倒したときの影響も大きくなります。
濡れた木道や岩場、ぬかるんだ登山道、湿った木の根が露出した道も滑りやすく危険です。特に下山では転倒のリスクが増します。下山では整備された道や広い道、勾配の緩やかな道、日が当たりやすく乾いた尾根道などを選ぶなどしてリスクを減らすのがと良いと思います。
赤ちゃんを背負っていると、たとえ日帰り登山でもロング縦走以上の大きなザックを背負うのに近い感覚になります。感覚がいつもと変わり、ベビーキャリアを色々な場所にぶつけやすくなります。片側が切れ落ちた狭い登山道は、ベビーキャリアをぶつけたはずみで転落する危険性が高くなるのでベビーキャリアには不向きです(もちろん両側が切れ落ちている場所やヤセ尾根も不向きです)。
刈り払いされていない登山道やハイマツ帯の狭い登山道、倒木が多い登山道は赤ちゃんの顔や体に当たらないように慎重に通過する必要があります。倒木が多いとかがんで通過する必要があるため、体力も使います。
標高を上げ過ぎない
これはベビーキャリアを背負う大人の技術や体力に関わらず、全てのベビーキャリア登山においての注意点です。乳児や幼児は酸素の薄い場所が苦手です。また高山病の症状が出ても乳児は自己主張できません。低山から徐々に慣れさせた方が良いでしょう。少しずつ標高の高い山に慣れさせていく過程では赤ちゃんの様子をこまめにチェックし、気持ち悪そうにしていたらすぐに下山しましょう。
ちなみにうちの子供の場合、生後8ヶ月の北横岳(2480m)、生後9ヶ月の宝永山(2693m)は大丈夫でしたが、1歳4ヶ月で立山雄山(3003m)に連れて行った時は2800mくらいまで元気だったのですが、山頂ではぐったりしていたために即座に下山しました(2800mくらいまで下りるとまた元気になりました)。
その後、2歳5ヶ月の時にも再び立山雄山(3003m)に連れて行きましたが、その時は心肺機能が成長したのか終始元気で、山頂付近で歩いたり、軽食休憩したりしても問題ありませんでした。室堂(2,400m程度)に前泊して酸素の薄さに慣らしたという環境面や、子供の個人差も関係あるかもしれませんが、うちの子供の場合は2歳で少しずつ体を慣らしていけば3,000m程度の酸素の薄さには適応できたようです。今年以降、体調に問題がなければ、乗鞍岳や木曽駒ヶ岳など3,000m前後の山に少しずつ連れていこうと思っていますので(北岳や富士山はもう少し先だと思っています)、アップデートがありましたら更新します。
できる限りショートコースで
ショートコースにするべき最大の理由はオムツ問題です。赤ちゃんを登山に連れて行く場合、下のお世話がもっとも問題になります。登山道でオムツを交換する場所を探すのは意外と大変です。人目のつかない場所かつ平坦で安定した場所でなければなりません(特に大きい方は悪臭を放つため、人が近くにいないことが大前提となります)。たっちが安定した後&小さいほうであれば、立ったままササっと交換もできるのでまだ場所の選択肢は広がりますが、たっちが安定する前や大きいほうのときは寝かせるか四つん這いなどになってもらっての交換になるためにある程度広さのある安定した場所を探す必要もあります。このように登山中にオムツを交換するのはとても大変なので(さらにオムツゴミもかさ張るので)、子供のトイレの間隔に合わせた時間で登山することをお勧めします。特に冬は、寒いとトイレが近くなり、また雪の中でのオムツ交換は赤ちゃんにも負担がかかるため、オムツ交換なしで行って帰って来られる時間がお勧めです。
年齢が上がるにしたがい、膀胱が発達してトイレの間隔も長くなるため、少しずつ時間を長めにすることができます。子供の場合、1歳半の夏で2~3時間程度、2歳半の夏で5~6時間程度、オムツ交換なしで山行ができるようになりました(個人差あると思います)。
もう1つ重要な理由は、天気が急変した時や体調が悪い時など万が一のことがあった場合にすぐに下山できることです。特に月齢の低い赤ちゃんを連れて行く場合や冬季の山行では重要です。
授乳中の場合は、お母さんの胸が張るという問題もあります。ほとんどのお母さんは登山道で授乳をする度胸はないと思うので、登山中はミルクでの授乳になります。そうすると長時間のコースでは胸が張ってしまいます(これは個人差があると思います)。
降水確率が低い日時を選ぶ
雨の予報が出ている時、ベビーキャリア登山は避けるべきです。滑りやすくなって転倒するリスクが増えるだけでなく、オムツ替えや食事など赤ちゃんのお世話もできにくくなります。赤ちゃんはずっとキャリアの上で運動していないため、悪天候下では大人以上に冷えの問題も発生します。大人が自分のことに精いっぱいになると赤ちゃんの様子をこまめに見ることを怠りがちになります。雨上がり直後も滑りやすいことが多いので、十分日差しが届いて乾いてからの登山がお勧めです。
大人は2人以上で
乳幼児と一緒に登る登山は、実は赤ちゃんを背負うだけではなく、付随してたくさんの荷物が必要になります。またベビーキャリアを背負う人は赤ちゃんの表情をこまめにチェックすることができません。できれば父母+子供など、大人2人以上で登山に行き、1人が赤ちゃんを背負い、もう1人が赤ちゃんの様子を見ながらお世話グッズを背負うというのがお勧めです。
ロープウェイを利用した登山はおすすめ!
北横岳や入笠山、日光白根山のようなスキー場のロープウェイを利用する登山、結構おすすめです。標高を稼ぐことができて時間短縮にも体力の温存にもなるということもありますが、何より山麓にレストハウスがありオムツ替えや授乳、食事といった面で便利だからです。例えばトイレにオムツ交換台があって登山前や下山後のオムツ替えがスムーズにできたり、食堂に子供用の椅子があるため下山後離乳食を与えやすかったりします。オムツ専用のごみ箱が設置されている場所もありました(持ち込みゴミは止めましょう)。立山黒部アルペンルートには授乳室がある駅もありました。