子連れ登山(ベビーキャリア登山)の注意点と準備するもの

久住山 西千里ヶ浜

子連れ登山(ベビーキャリア登山)の注意点のページはこちらにベビーキャリア登山で必要な準備物・持ち物についてのページはこちらに、それぞれ移動しました。新しいページでは、より豊富な写真でウェアについてご紹介しています。このページもしばらくはご覧頂くことができるようにする予定ですが、将来的にはクローズする予定です。


出産後数ヶ月は登山どころではありませんでしたが、子供のお座りが安定した生後5か月ごろから登山を再開しました。その我が子ももうすぐ1歳9ヶ月。
これまでに子供と登山をしながら気づいたことを書いていきたいと思います。

赤ちゃん用(0~1歳児)の登山ウェアについてはこちらの記事を、実際のベビーキャリア登山の山行記事はこちらを、妊娠中の登山の注意点ついてはこちらの記事をご覧下さい。

行って良い登山道、行って良い条件

赤ちゃんを背負って登山する場合、大人だけの登山や妊娠中の登山以上に気を付けるべきポイントが多くあります。私たちの経験から、「こういう登山道はお勧め」「こういう条件ならOK」というものを書きます。

  • ベビーキャリアを背負う大人の体力・技術に見合った登山道
    • 大前提です。子供の体重+自身の荷物(緊急性の低いものは同行する大人に背負ってもらうことはできるものの雨具や飲料など最低限のものは背負う必要あり)の重さを背負って登って降りてこられるルートを選ぶ必要があります。特にはじめは親はもちろん赤ちゃんもベビーキャリアに慣れていません。標高差の小さな短時間ルートから始め、徐々に標高差や時間を増やしていくのが良い思います。
  • 安全で整備された登山道
    • 滑落の危険のある岩場やヤセ尾根、転びやすいガレ場、渡渉のあるような登山道、赤ちゃんの顔や体にバシバシ笹や木の枝が当たるような整備されていない狭い登山道や倒木などが多くしゃがみ込んで通過しなければいけない登山道(←ベビーキャリアにはきつい)など整備が行き届いていない登山道は止めるべきです(冬の北鎌尾根やアラスカのデナリ登頂経験のある夫は岩場やヤセ尾根も多少の渡渉の道も気にせずベビーキャリアで行っていましたが、そのあたりは自己責任で)。
  • 標高の高すぎない山
    • 赤ちゃんや小さな子供は酸素の薄い場所が苦手です。また高山病の症状が出ても自己主張できません。低山から徐々に慣れさせた方が良いでしょう。少しずつ標高の高い山に慣れさせていく過程では赤ちゃんの様子をこまめにチェックし、気持ち悪そうにしていたらすぐに下山しましょう。ちなみに子供の場合、生後8ヶ月の北横岳(2480m)、生後9ヶ月の宝永山(2693m)は大丈夫でしたが、1歳4ヶ月で立山雄山(3003m)に連れて行った時は2800mくらいまで元気だったのですが、山頂ではぐったりしていたために即座に下山しました(2800mくらいまで下りるとまた元気になりました)。
  • できる限りショートコースで
    • ショートコースにするべき最大の理由はオムツ問題です。赤ちゃんを登山に連れて行く場合、下のお世話がもっとも問題になります。登山道でオムツを交換する場所を探すのは意外と大変です。人目のつかない場所かつ平坦で安定した場所でなければなりません(特に大きい方は悪臭を放つため、人が近くにいないことが大前提となります)。たっちが安定した後&小さいほうであれば、立ったままササっと交換もできるのでまだ場所の選択肢は広がりますが、たっちが安定する前や大きいほうのときは寝かせるか四つん這いなどになってもらっての交換になるためにある程度広さのある安定した場所を探す必要もあります。このように登山中にオムツを交換するのはとても大変なので(さらにオムツゴミもかさ張るので)、子供が自力でトイレに行けるようになるまではできる限りオムツ交換の回数を減らせるようショートコースで登山することをお勧めします。冬は、寒い場所でのオムツ交換は赤ちゃんにも負担がかかるため、オムツ交換なしで行って帰って来られる2~3時間程度のコース(月齢にもよる)がお勧めです。
    • もう1つ重要な理由は、天気が急変した時や体調が悪い時など万が一のことがあった場合にすぐに下山できることです。特に月齢の低い赤ちゃんを連れて行く場合や冬季の山行では重要です。
    • 授乳中の場合は、お母さんの胸が張るという問題もあります。ほとんどのお母さんは登山道で授乳をする度胸はないと思うので、登山中はミルクでの授乳になります。そうすると長時間のコースでは胸が張ってしまいます(これは個人差があると思います)。
  • 降水確率が低い日時を選ぶ
    • 雨の予報が出ている時、ベビーキャリア登山は避けるべきです。滑りやすくなって転倒するリスクが増えるだけでなく、オムツ替えや食事など赤ちゃんのお世話もできにくくなります。赤ちゃんはずっとキャリアの上で運動していないため、悪天候下では大人以上に冷えの問題も発生します。大人が自分のことに精いっぱいになると赤ちゃんの様子をこまめに見ることを怠りがちになります。
  • 大人は2人以上で
    • ベビーキャリア登山は、実は赤ちゃんを背負うだけではなく、付随してたくさんの荷物が必要になります。またベビーキャリアを背負う人は赤ちゃんの表情をこまめにチェックすることができません。できれば父母+子供など、大人2人以上で登山に行き、1人が赤ちゃんを背負い、もう1人が赤ちゃんの様子を見ながらお世話グッズを背負うというのがお勧めです。
  • ロープウェイを利用した登山はおすすめ!
    • 北横岳入笠山日光白根山のようなスキー場のロープウェイを利用する登山、結構おすすめです。標高を稼ぐことができて時間短縮にも体力の温存にもなるということもありますが、何より山麓にレストハウスがありオムツ替えや授乳、食事といった面で便利だからです。例えばトイレにオムツ交換台があって登山前や下山後のオムツ替えがスムーズにできたり、食堂に子供用の椅子があるため下山後離乳食を与えやすかったりします。オムツ専用のごみ箱が設置されている場所もありました(持ち込みゴミは止めましょう)。立山黒部アルペンルートには授乳室がある駅もありました。

準備するもの

赤ちゃん用に準備するものはベビーキャリア以外にも実はたくさんあります。大きくベビーキャリア食事関係オムツ関係ウェア類に分かれます。

  • ベビーキャリア
    • 夫はメルカリでドイターのキャリアを買いましたが、理想的には店舗で体へのフィット感などを試して購入するのが望ましいと思います。ちなみにドイツブランドのドイターは日本人にはやや大きめの作りなのか、身長160cm台後半の夫はいちばんきつく締めてちょうどよかったみたいです。子供を背負って歩くと徐々に体が左側に傾いてお尻が半分キャリアの外に出てしまうことが多かったため、スリングでお手製のアブミを付けたところ改善しました。まずは近所の散歩や軽いハイキングで試して調整していくのが良いと思います。
  • 食事関係
      • 液体ミルク(または粉ミルク&魔法瓶&お湯&冷まし水):授乳中の場合ミルクが必要になります。お勧めは既に飲める状態になっている液体ミルク。お湯や冷まし水を持ち歩く必要がなく荷物を格段に減らせます。アイクレオの赤ちゃんミルクはぐくみの液体ミルクなどがあります。飲んだ後のゴミは小さく折りたたんで持ち帰ることができます。ほほえみのらくらくミルクもありますが、子供は240mlも飲みきれないため私たちは使いませんでした。山で飲み残してしまったら持ち帰らなくてはいけないのでちょっと大変です。ミルクをたくさん飲むお子さんであれば、専用のアタッチメントをつければ哺乳瓶を別に持っていく必要がないですし、選択肢に入れても良いかもしれません。寒い時期に温かいミルクを与えたい場合は粉ミルクにお湯と冷まし水が必要です(積雪期は雪の中に哺乳瓶を突っ込めば比較的早く冷めるのでお湯のみで大丈夫です)。粉ミルクはほほえみのらくらくキューブはぐくみのスティックタイプEあかちゃんのスティックタイプなど使い切りサイズのものが便利です。
      • 哺乳瓶:授乳中の場合は哺乳瓶も必要です。粉ミルクの場合はもちろんですが、液体ミルクもほとんどが哺乳瓶に移し替えて飲ませるタイプです(紙パックから直接飲むことはできません)。ちょうどマイクロプラスチック問題が話題になっていた時期なので、プラスチック製のものは少し抵抗がありましたが、ガラス製を持って行って万一山で割れてしまうと後始末が大変なため、山行の時のみプラスチック製を使いました。
      • 離乳食:離乳食が始まったら持っていきます。お勧めは和光堂の栄養マルシェシリーズキューピーのにこにこボックスシリーズなど、カップに入っている離乳食。そのままあげることができるのでお勧めです。パウチに入っている場合、食後のゴミはコンパクトにたためるのですが、移し替えるのが面倒だったり手が汚れたりするので個人的には好みではありませんでした。でも汚れにくさかゴミのコンパクト化かどちらを取るかは好みの問題かも知れません。月齢が進めばカネ増製菓のやさいパンやミルクパンもお勧めです(特に冬季はごはんが凍りやすいのでパンは重宝します)。
      • スプーン・フォーク:使い捨てのものを持って行くという手もありますが、私たちは環境のことも考えて洗って繰り返し使えるものを持っていき、落としてしまった時用の予備として栄養マルシェシリーズに付いているスプーンをいくつか持っていきました。ケースに入れて持って行くと持ち帰りも楽です。100均などでもケース入りスプーン・フォークセットが売っています。
      • スパウト:コップからこぼさず飲めるようになるまではスパウトがあると安心です。水やお茶などを入れて持っていきます(冬季氷点下になる場合は凍結対策をするか魔法瓶に入れて持っていきます)。
      • タッパ(小さめ):食べ残した場合の持ち帰り用として蓋つきの入れ物があると便利です。パウチ入りの離乳食を与える場合には移し替え用の容器としても使えます。
      • スタイ:最初は100均で購入した紙製の使い捨てタイプを使っていましたが、子供がすぐに破くようになってしまい何枚あっても足りなくなってしまうため100均のポリエステル製のスタイにしました。紙製のものより丈夫で何回も使いまわすことができ、軽量で持ち歩きやすいので安心です。
      • ウェットティッシュ:食後に赤ちゃんの手を拭いたり、使用後のスプーンやフォーク、スタイなどを拭くのにあると便利です。
      • 嗜好品(おやつ・ジュースなど):赤ちゃんの月齢や好みに応じて持っていきます。ジュースは1回で飲み切れる紙パックのものがお勧めです。

    ベビーキャリア登山の準備物(食事関係)
    食事関係 月齢によるがこれに液体ミルクや嗜好品を加える
  • オムツ関係
      • オムツ:やや長めの山行では夜用のパンツ(吸収量が多い)にしたり、寒い時期であれば保温性の良いあったかオムツにするなど、工夫をすると良いと思います。
      • おしり拭き
      • オムツがにおわない袋
      • オムツ替えシート:たっちが安定するまでは寝かせてオムツ替えをする必要があるのでシートを持参します。大きい方をやらかした時のオムツ交換にも必要です。防水性があるものが望ましいです。私はオムツ替えシート付きのオムツ入れに使い捨て防水シートを数枚持参し、小さいほうの時は備え付けのシートのみ、大きいほうの時はその上に使い捨て防水シートを敷いて交換していました。おむつケースと一体型のものもあるので(下の写真)そういった1つ持っていると便利です。
      • 折り畳みクッション:同じくたっちが安定するまでは持って行った方が良いです。ベンチなどがない時は地面などに寝かせてオムツ交換をしなくてはいけないからです。用意できない時はザックの上に寝かせて落ちないように支えるなどの工夫が必要です。
      • 消毒用のウェットティッシュ:大きいほうのお世話をした後で手を拭くのにアルコール入りのウェットティッシュがあると便利です。
    ベビーキャリア登山の準備物(おむつ関係)
    おむつ関係 小さい時はこれに加え防水シートも持っていきました

    ベビーキャリア登山の準備物(おむつ関係)
    おむつ関係 畳んだ状態
  • ウェア類&その他…赤ちゃん用の登山ウェアについてはこちらもご覧下さい
    • 着替え上下:お漏らしした場合や飲み物・ゴハンを派手にこぼしてしまった時に必要にです。一度登山中に子供が大きいほうを盛大にやらかしてしまったことがあったのですが、着替えを失念していて大変な思いをしました。
    • 防寒具・雨具:大人だけの登山の時も持って行くのと同じ理由で赤ちゃんにも必要になります。
    • ロールペーパー:赤ちゃんはよく鼻水を出す&飲み物をこぼします。ティッシュでも大丈夫ですがロールペーパーが1つあるとたくさん使う時も便利です。

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